枕営業は合法?

  • 2015.05.28 Thursday
  • 17:57
弁護士の村田です。

先日,枕営業に関する興味深い裁判例が出ていたとするニュースを見ましたので,ご紹介します。

さて,その裁判の中身なのですが,夫がクラブのママと長年に渡って性交渉を持っていたとして,妻がそのクラブのママに対し,金400万円の損害賠償請求をしたところ,その請求が棄却されたというものです。
判決では,請求を認めなかった理由として,まず前提として,「売春婦が対価を得て妻のある客と性交渉しても、客の求めに商売として応じたにすぎない」ことから,その場合「何ら結婚生活の平和を害するものでなく、妻が不快に感じても不法行為にはならない」とした上で,今回クラブのママが夫と性交渉を持ったのも枕営業の一環であって,枕営業は「対価の支払いが、直接か間接かの違いに過ぎない」という点で売春と同じものであることから,クラブのママが夫と枕営業の一環で性交渉を持ったとしても,「結婚生活の平和」を害するものではなく,不法行為は成立しないと判断しています。

このように,なかなかすごいことをこの判決では言っているのですが,まずそもそも論として,不倫であることを知りながら結婚している男性と性交渉を持った場合,法律上,その夫が妻に対して慰謝料を支払わなければならないのは当然のこと,不倫相手の女性も,夫と一緒に妻の婚姻生活の平和を破壊したとして,共同して妻に対する損害賠償責任を負うことになります。
したがって,上記のクラブのママも,原則論からすれば,夫に妻がいることを知りながら性交渉をしていますので,妻に対する損害賠償責任を負うはずです。
しかしながら,上記判決は,売春の場合は商売として性交渉に応じたに過ぎないことから結婚生活の平和を害するものではなく,それは枕営業も同じであるという理由から,夫が長期間枕営業に応じて性交渉を持っていたとしても,クラブのママ側には損害賠償責任は発生しないとしたのです。
判決の原文を確認した訳ではありませんので,何か特殊な事情があったのかもしれませんが,ニュースに出てきた事情だけを見ると,いくら枕営業でも長期間妻のいる男性と性交渉を持っていたのであれば,結婚生活の平和が害されることはないとはとても言えないような気がしますが(少なくとも,妻にバレた場合離婚の危機が発生するのはほぼ間違いないでしょう),いかがでしょうか。

確かに,上記判決が言うように,風俗店での売春行為の場合にまで,女性側に損害賠償責任を負わせるのはいかがなものかという判断はありうるような気はします(以前の記事でも書きましたが,ソープランドで売春行為が行われているのは公知の事実であり,客が既婚者であったとしても,ソープ嬢は客に対するサービスを断ることは困難でしょうから,その場合にまで不倫だとしてソープ嬢に賠償責任を負わすのは酷でしょう)。けれど,枕営業の場合には,敢えて配偶者のいる異性に枕営業をするという選択を自発的にしているのですから,枕営業をした側に賠償責任を負わしても不合理ではないように思います。

いずれにしても,なかなか特殊な判決であることは間違いないので,今後この判決が出ているからと言って,枕営業をしても相手方の配偶者に不倫の慰謝料を支払う必要はないと判断するのは早計だと思われます。
 
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